Comet C/2004 Q2 (MACHHOLZ)

2005年1月7日

 年末からマックホルツ彗星が予想以上に増光し、3等級になっていた。さらに7日から8日にかけてスバルに接近するという。前回のニート彗星(4等級)に比べれば、ぐっと条件は良いのではないか、横浜でも十分確認は可能ではないか、と思い、裏の畑に機材を運んだ。年末にEOS Kiss Digitalを購入したので、これのテスト撮影も兼ねている。
 
  このEOS Kiss Digital は、知人から安く譲ってもらったものである。
 いろいろな天文サイトを見ると、EOSとNikonD70を使っている人が
 大半を占めている。私としては、Canon、Nikon 両方のレンズを持って
 いたので、どちらでも良かったのだが、たまたま仕事上の知人が使用して
 おり、それを譲ってもらうことになった。
  天体写真におけるデジカメの威力は広く言われていることである。
 第一に露出時間が銀塩に比べて、非常に短時間ですむという点が最大の長所
 かと思う。フィルムの特徴でもある相反則不規がないため、同じ時間の露出
 に対してデジタルの方がはるかに有利となる。まさに鬼に金棒、水を得た
 魚のようにこぞってデジタルに移っていくのも無理はない。
 さて、さっそく8cm双眼鏡とEOSを持って裏の畑に行く。結構暖かい。
まずは双眼鏡でプレアデス星団を視野に入れる。
おお!視野内にすぐにマックホルツ彗星が飛び込んできた。これはこれは、ニート彗星の比ではないじゃん!
こんな横浜の空でもはっきりと確認ができるということは、3等級、あるいはそれ以上なのではないだろうか。
ちょっとした感動を覚える。これならデジカメ一眼でも十分写るだろうと、大きな期待を抱いて、
EOSでの撮影に取り掛かった。
  
                    
  
  撮影:1月7日22時14分 自宅裏の畑
  Canon EOS Kiss Digital  85mm(f1.8) F:8 露出10秒 
  ISO:400 固定撮影
  Photoshop でレベル補正
  この赤緯では10秒でも流れてしまう。でもよく写っている。

  

  1月7日22時14分〜16分 上記コマと同条件
  5枚コンポジットで合成。レベル補正。
  天体写真の補正はまだまだ勉強の余地が大だなあと思った。

 今回、初めてデジカメ一眼での撮影を試みたが、予想以上の成果にびっくりした、というのが本当のところ
だろうか。この横浜でどこまでできるか、次回はガイド撮影にも挑戦してみようと思う。

1月8日 ガイド撮影に挑戦! 


  1月8日20時50分
  Canon EOS Kiss Digital  85mm(f1.8) F:5.6 露出30秒
  ISO:400 マークXにて自動追尾 レベル補正
  レリーズをまだ購入していないので、一番長いシャッター速度で撮影。
  やはり点像の方が星野写真らしくなる。


1月10日 さらに長時間ガイドに、、もうびっくりぎょうてん!

  1月10日 22時19分 Canon EOS Kiss Digital
  85mm(f:1.8) F:2.8  露出2分30秒
  ISO:100 マークXにて自動追尾 RAW現像 レベル補正
  いやいや、横浜のこの空で、こんな星の写真が撮れるなんて、とても
  信じられない気持ちでした。すばるの淡い青い星雲も写っています。
  デジカメ一眼の威力をまざまざと見せ付けられた1枚です。



1月11日 がぜん、やる気まんまん!今夜も天気だ、マックがすごい!
  21時03分 露出3分
85mm F:4.0  ISO:100
尾がはっきりと分かるようになった。
RAW現像 レベル補正(右画像も同じ)
  21時46分 露出7分
75〜300mm(135mm) 
  F:5.6 ISO:100
望遠ズームで撮影。かなり長い尾が分かる。

1月12日 完全に日課になってしまった!
   21時26分 露出5分
 75〜300(135)mm
    F:5.6 ISO:100
双眼鏡だと、ただぼわーとしか見えない。
   21時45分 露出5分
  75〜300(135)mm
   F:5.6 ISO:400
こちらは感度を400に設定。我家の空くらいだと
100で多少露出をかけた方が良い感じがする。

1月13日 今夜はだめか、、、いやいや根性で撮りました。
   22時58分 露出5分
 75〜300(135)mm
   F:5.6 ISO:400
あいにくの薄雲が出ていて、今夜は半分あきらめて
いたが、10時半過ぎくらいから回復してきたので、
急いで撮影した。尾の写りは昨日ほどではない。
   23時10分 露出4分
 75〜300(200)mm
   F:5.6 ISO:400
望遠を200mmのところで撮影。星像が大きく
なっている。ズームレンズの宿命かもしれない。

1月17日 大雪にならずにすんだものの、何とも悔しい週末の天気でした。
  21時50分 露出5分
 85mm F:5.6 ISO:100
何とも恨めしい雨の日が続き、週末の星見会も
中止になってしまった。今夜は晴れてはいるが、
上弦の月がまぶしく輝いている。そんな中でも
結構立派に写っている。彗星の左下の恒星は、
ペルセウス座の有名な変光星「アルゴル」である。
  22時04分 露出6分
 75〜300(135)mm
  F:5.6 ISO:100
月が明るいので、ISOは100にした。月は
じゃまではあるが、AFのピント合わせには
絶好の対象となる。彗星は全体的に少し暗くなった
ようだ。

1月18日 昼間は晴れていたのに、夜になって雲が出てきた。しばらく待機してみたが、晴れ間が途切れないので、
        今夜は断念!

1月19日 もやと月光に苦悩しながらも何とか、、
  21時37分 露出2分30秒
 85mm F:7.1 ISO:100
空全体がもやっているのと、それに月明かりが
反射しているような最悪のコンディションだったが、
それでも何とか写った。
  22時03分 露出3分30秒
 75〜300(135)mm
  F:6.3 ISO:100
左隅にアルゴルが入っている。湿度が高いようで、
置いてあるものが露でびっしょりになった。

1月20日 昨日とは透明度が違うぞ、月があったってOK!
  21時33分 露出5分
 85mm F:7.1 ISO:400
月がさらに明るくなったが、昨日とは透明度が
まったく違う。月光にもあまり影響されにくい
感じだ。今日は、双眼鏡でも良く見えた。
写真の写りとはまったく違う印象だが。
  22時00分 露出6分
 75〜300(135)mm
  F:6.3 ISO:200
尾の開いている角度が狭く(鋭角)なって
いるようだ。月明かりの中でもこれだけ
写るのだから、、、再度感激。

1月21日 月から少し離れたけど、月の明るさは増すばかり、、、。
  21時00分 露出2分30秒
 85mm F:3.5 ISO:400
月も上弦を過ぎるとさすがに明るく、
懐中電灯がいらないくらいだ。下旬には周極星に
なる予報が出ている。一晩中見られるわけだ。
  21時17分 露出5分
75〜300(135)mm
  F:6.3 ISO:400
10日前と比べるとさすがに光度が下がった
感じだが、まだまだ双眼鏡でも良く見える。

1月22日 月がとっても明るいけど、写るから面白い!
  20時56分 露出4分
 85mm F:4.5 ISO:400
尾の写りが淡くなった。月明かりだけでなく、
彗星と地球の位置関係も影響しているのかも
しれない。
  21時55分 露出5分
 75〜300(135)mm
  F:7.1 ISO:400
8cm双眼鏡での見え方は、最初のころと
それほど変化はないように、感じる。

1月23日 閑話休題
 
 今日は昼間から天気が悪く、午後からは小雪が舞ってきた。
それなので、今夜は撮影は小休止。
 撮影に使っている赤道儀、Mark-Xは佐藤氏所有のものを借りている。メーカーの五藤光学は、すでに生産を終了しており、もう新品は手に入らない貴重(?)な機種である。ガイド撮影の際、わずらわしいのが極軸合わせだが、このMark-Xのセッティングは非常に簡単で、短時間ですむ点が優れている。しかもその割にはかなり正確で、ガイド鏡なしのノータッチガイドでも十分であることは、画像を見てみれば分かると思う。

 撮影地は裏の畑である。北側に横浜線、東から南へ東名が走っている。横浜線が通ると地面が揺れるので、その間はレンズの前を黒い紙で覆って、露出をカットしなければならない。
5分間に2度も3度も来ることもある。電車からは丸見えだ。昔からアニマルゾーンなどと呼ばれている窪地ではあるが、その分、街灯の光も幾分遮断されていると思われる。だが、横浜でこれくらい写るのだから、もっと条件の良いところで、と思わざるを得ない。

 

1月24日 うす雲もが、、待機して10時半過ぎ、ようやく、、、
  23時26分 露出3分
 85mm F:5.6 ISO:400
待機すること1時間。うす雲がやっとどいてくれた。
しかし、条件は最悪だ。月も満月に近い。
右下に二重星団が写っている。
  23時16分 露出3分
 75〜300(135)mm
  F:6.3 ISO:400
高度がなり低い状態なので、うす雲と光害の影響が
大きい。しかし今日は撮れたことで満足しておこう。

1月26日 満月過ぎの月が明るい!高度も低くなった。
       
  22時10分 露出7分
 85mm F:5.6 ISO:100
高度が低くなった。二重星団もいっしょに入れたが、
かなり低空の光害の影響が出てしまった。
  22時42分 露出5分
 75〜300(135)mm
  F:5.6 ISO:400
構図的には良かったが、高度が45°以下は
やはり厳しい環境といわざるを得ない。

1月28日 雲がどかない。飛行機雲までがじゃまをする!
  21時35分 露出2分
 85mm F:5.6 ISO:400
ちょうど撮影したい所に雲がかかった状態で
その雲がぜんぜんどかない。右下の明るい部分は
光害ではなく雲。
  22時18分 露出3分
 75〜300(135)mm
  F:5.6 ISO:400
いまいましい雲だ!1時間以上も同じ所に
居座ったままだった。

1月30日 中津川八菅という川原へ行く。昼間は快晴で、大きな期待を持って行ったのだが、薄明が始まると同時に
        雲が広がり、やがて皆曇りとなってしまった。しかし、ここは北側の視野も良く、多少車も来るが、
        自宅よりは全然良い場所だと思う。
                

1月31日 久し振りの好天、しかも月はない!
  21時18分 露出5分
 85mm F:5.6 ISO:400
久し振りの月のない好天となった。尾はだいぶ小さく
なった感じだ。双眼鏡での見え方に近くなった。

ただ、低空の光害の影響は今後も大きい。
  22時01分 露出7分30秒
 75〜300(135)mm
  F:5.6 ISO:400
今月上旬の頃に比べ、高度がかなり下がった。
今後も北極星に向かって行くということは
高度も35度ということ、ちょっと厳しいなあ。

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